民事再生の手続き
まずは、「申立」が行われる必要があります。民亊再生を希望する個人が、裁判所に対して申立を行い、これを受理された時点で、民亊再生の手続きがスタートすることになります。ただ、民亊再生の手続きは、かなり煩雑である場合が多いため、個人で裁判所に出向くのではなき、弁護士事務所や司法書士事務所に依頼して、手続きを代行してもらうというケースが圧倒的に多いです。
民亊再生を行うためには、クリアしなければならない条件があります。これを「要件」と呼びますが、このための資料を裁判所に提出することによって、民亊再生の申立が行われたとみなされることになります。ただ、この資料を個人で作成することは、素人であればほぼ不可能であると思われることから、民亊再生をしたいと考えるのであれば、はじめから弁護士事務所や司法書士事務所に依頼したほうが、時間的なロスを最小限にとどめることができるといえるでしょう。
裁判所が「申立」を受理したと同時に、今度は裁判所のほうで手続きをはじめることになります。これを「再生手続の開始」といいます。申立の際に提出された資料を基にして「再生手続開始の決定」を行い、その後最終チェックを経て、「再生手続開始の決定確定」となり、「再生手続の開始」に至るという、このあたりはかなり厳密な手順を踏むことになります。
実際に、この段階で、再生手続に必要な費用が足りない、あるいは事実と異なるファクター(虚偽、もしくは資料内容の不備)が発覚したというケースでは、再生手続の開始の決定は行われず、この時点で再度資料の作成し直しや、再生手続を断念するケースも見られます。また、実際に再生手続が開始してからも、虚偽や資料の不備、矛盾などを理由として、再生手続が中断、中止、棄却されることはあります。
民事再生の流れ
・近い将来支払い不能の状況に陥る危険性がある
・将来、継続的もしくは反復的に収入を見込むことができる
・借入金額の総額が5000万円以下である
という、この3つの条件を満たす自営業者が、小規模個人再生を申請することができます。
また、申請にはさまざまな種類がありますので、それぞれについてまた別の要件をクリアしている必要があります。その要件とは、
・申請者が個人である
・将来、継続的もしくは反復的に収入を見込むことができる
・住宅ローンを除く債務総額が5000万円以下である
という3要件になります。
これらの要件を満たしている自営業者が小規模個人再生を申請することができるわけですが、その流れは、まずは弁護士事務所や司法書士事務所に対して相談することからスタートします。そして、事務所のほうで各項目をチェックした結果、受任できると判断されたら、正式に契約します。
事務所は契約によって「債権調査」をはじめます。債権調査の結果をまとめ、申立書類を作成します。債権調査の段階で、いわゆる「過払い金」が発生しているケースが非常に多いため、その調査も兼ねて行ってもらうことが重要です。
作成した申立書類は裁判所に提出します。これが「小規模個人再生の申立」になります。申立が行われると、「個人再生委員」が裁判所によって選任されます。この段階で、選任された委員の報酬が発生する可能性があります。
その後、委員によるさまざまな聴取が行われ、再生手続開始が決定されます。そして、申立からだいたい1か月で、債権額が確定します。その後、債権額をベースとした再生計画案を裁判所に提出します。これをもとにして、書面決議が行われます。そして「再生計画認可決定」が行われ、最終チェック後、「再生計画認可決定確定」となり、ここまでが小規模個人再生の流れになります。
個人の民事再生での官報について
まずは「官報(かんぽう)」とは何であるのかということについて、簡単に説明しておきたいと思いますが、この「官報」というのは、「重要事項に関する政府の刊行物」と定義づけされます。官報は、毎日発行され、一般人が販売所で購入することができます。とはいっても、通常私たち一般人が購読してまで手に入れるようなものではありません。役所や企業が特定の目的で購読するタイプの刊行物であるといえるでしょう。もし私たち一般人が官報を見る必要があるというときには、たいてい大きな図書館に行けば、見ることができます。
で、この「個人民亊再生の事実が官報に掲載される」ということについては、「民事再生法」で定められていることですので、現行の法律では、プライバシーに抵触するようなことはありません。そのへんの事情については正直よくわからないのですが、現行法では、個人民亊再生した人は、これに関する官報掲載を避けることはできません。
氏名だけならまだしも、住所が掲載されることになったとすると、これはいかにも危険であるという気がしてならないのですが、現行法で何ら問題を生じないとはいえ、やはり多少なりとも個人情報の漏えいは見て見ぬふりをしていることになるわけですから、この部分について改善を求める専門家の意見もけっこう聞かれることがあります。個人民亊再生にまつわるメリット、デメリットは当然いろいろ考えられるのは事実ですが、この手のデメリットというのは、本来科すべきものではないという気も正直します。
