いまさら聞けない債務整理と破産の違い
まず破産も債務整理の一つの手段でしかありません。債務整理には大きく分けて4種類あり、ひとつは個人再生手続き、もう一つが任意整理、特定調停、そして自己破産になります。そしてこの債務整理の一つの手段である自己破産は今持っている債務、つまり借金を完全に消し去る手続きを指します。つまり消し去るという事はリセットする事を言います。リセットですのでゼロにしてしまうわけですね。
ただ、このゼロにするにも、もともとある負債を個人の力で強引にゼロにすることは出来ませんので、何らかの第三者的な機関を介してゼロにすべきかどうかを判断してもらう必要があります。これが裁判所の裁判官が行う免責です。裁判官は法の執行権を持っている権力者。その裁判官の力を拝借して借金をゼロにしてもらうのです。これが自己破産。
ただこの自己破産の免責を受けるには非常にたくさんのハードルを乗り越えていく必要があり、そう簡単に免責を受ける事はできません。たとえばギャンブルで使った借金は免責にはなりません。車や家などの資産があっても没収されるるか場合によっては免責にはなりません。つまり返済する余力がある以上免責は下りないのです。もし作った借金の原因が一時の快楽による自身の欲求を満たすためだけのものだったのであれば、自己破産の免責を受ける事は極めて難しいでしょうし、法律事務所でもお勧めしません。
一般的にギャンブルなどで作った借金であれば、特定調停という方法で債権者との話し合いの場を持つのが通常です。これは裁判所へ債権者と債務者の両方が出向き、調停員を間に挟み今後の支払方法についてどのようにして進めて行くのかを相談する場。ただこの特定調停は貸金業者で貸し倒れ債権対応としてテンプレート化している為、殆ど便宜的な話合いでしかなく、最終的に「利息棚上げ元本均等返済」という答えありきの為の場でしかありません。
つまり貸した元金だけ返してくれれば利息まで返済しなくてもいいよという貸金業者側の便宜なのです。そしてほとんどの特定調停においてこの利息棚上元金返済で妥協されます。従って実際の債務整理手続きの中でも自己破産まで行くケースは極めて稀で、殆ど特定調停での妥協を要求されます。
自己破産とは?

ただ、借金がゼロになる代わりにマイホームはもちろん生活するために必要最低限の財産以外はすべて全ての財産は強制的に換価され、失うことになります。必要最低限の財産には衣類、テレビ、冷蔵庫、洋服タンス、エアコン、掃除機やら娯楽製品とも取れるDVDレコーダー、ゲーム機なども含まれ特別高価なものでない限り多くのものは差し押さえ禁止の対象となっています。(複数あれば没収される事もあります)。
つまり自己破産後の生活も、一定レベルの生活水準で暮らすことは出来るのです。そして自己破産後の収入は生活に使う事が出来ます。そんな借金から解放される自己破産ですが、免責が認められない場合もあります。浪費やギャンブルで大きな借金をした場合には破産法によれば免責不許可事由の一つです。必ずしも破産が認められる訳ではありませんが実際問題、免責を認めてくれないケースはほとんどありません。
自己破産のメリット
自己破産のメリットといえば何と言っても「借金が無くなる」。それに尽きると思います。税金などを除いたすべての借金を支払う必要が無くなります。債権者による給料差し押さえなどの強制執行も出来なくなり今後の生活に最低限必要なものも残すことが出来、以降の収入は自由に生活に使用することが出来るようになります。
自己破産のデメリット
一部、誤解も多い自己破産のデメリットですが本当のデメリットは決して多くありません。今後の借金が約5年から10年間出来なくなりますが、それも借金をしない生活をするためにも決してデメリットとは言えません。また、住所氏名が官報という国が発行する機関紙に掲載されますが、一般の人が読むようなものではありませんので自己破産をしたことが周りに知られる心配は少ないです。また、一部の職業(警備員など)に一定期間就けない事もありますが、大抵の人は関係がありません。以上が自己破産によるデメリットです。・借金、ローンが出来なくなる
・官報に掲載される
・一部の職業に就けなくなる(一定期間)
自己破産の免責について
自己破産の際に気を付けておかなければならないのが、「免責不許可決定」です。自己破産における「免責」とは、ケースによって借金返済の義務がなくなる場合を指します。ですから、「免責不許可決定」が下された場合、自己破産申告者は、借金返済の義務が継続していることになります。自己破産では、免責が認められる場合とそうでない場合がありますが、残念ながら免責が認められなかったというケースは非常に多いです。なぜ免責が適用されなかったのか、というその理由を、「免責不許可事由」といいます。免責不許可事由の典型となるのが、「株式などの投資による自己破産」、「ギャンブルによる自己破産」、「浪費による自己破産」などが主なものであり、これらが原因で自己破産を申告した人は、免責の適用が基本的には受けられません。
上記以外の免責不許可として挙げられる事例も少なくありません。たとえば、自己所有の不動産の売却を回避するために、自己破産の直前に、特別な理由なしに自己所有不動産の名義変更を行った場合などがこれにあたります。これは、「自己所有有価財の隠匿」という行為にあたり、当然その有価財の免責は不許可になります。また、クレジットカードを保有している自己破産申告者のうち、「ショッピング枠の現金化」をした経験があるという人の場合、免責不許可となるケースが多くなります。
さらに、特定の債権者への弁済だけが優先的に行われてしまったといったケースについても、免責不許可となる場合が多いです。これはどういうことかというと、たとえば自分のお世話になった親類縁者にのみ借金の返済を済ませ、残りの債権者への借金を弁済せずに自己破産申告するようなケースがこれにたります。この事例は非常に多く見受けられるので、注意が必要になります。他にも、融資を受ける際に所得証明書などに虚偽があったようなケースでも、免責不許可となる場合があります。このケースも比較的多くみられる事例です。
