自己破産後の生活で車は?

自己破産を裁判所から受理された時点で、「価値あるものはすべて没収されなければならない」というイメージを抱いている人が多いようですが、実際のところそうではありません。基本的には「生活必需品」に関しては、自己破産によって没収されることはありません

しかし実際自己破産を受理された際に多くの人が問題として抱えなければならないのが、「何をもって生活必需品とみなすのか」といった部分です。そうした、いわば「ボーダーライン」となりうる家財のうち、本体価格が非常に大きいもの、つまりは「高価な家財」として真っ先に思い浮かぶのが、「車」でしょう。

自己破産によって「車」が差し押さえになるかどうかの判断は、やはり「車が生活必需品であるかどうか」という点に集約されているといっても過言ではありません。たとえば、都心部にお住まいの方が自己破産になってしまったとしても、車が生活必需品と認められることはほぼあり得ません。都心部のように公共交通機関が発達している地域では、まず車が生活必需品とみなされることはないと考えたほうが無難です。

まあ都心部であれば、いわゆる「自家用車」という用途に関していえば、実際に車を所有している人自体がそれほど多くはありませんが、しかし、これについては都心部にお住まいの方でなくても実際にはまったく同様のことが言えてしまうと考えておくべきです。

介護などをはじめとするさまざまな事由によって車が自己破産の差し押さえの対象にはならないというケースも、もちろんまったくないというわけではありません。しかし実際のところ、基本的にはほとんどの場合で自己破産によって車が差し押さえられてしまうと考えておかなければなりません

「歩ける範囲に駅があるのであれば、車は必要ない」、「生活必需品を購入する店舗が自宅近辺にあるのであれば、車そのものは生活必需品とはみなさない」といった傾向が顕著になりますので、このあたりはある程度覚悟に入れておいたほうがよいといえるでしょう。

自己破産後の生活で携帯電話は?

自己破産申請を裁判所に受理された場合、すべての借金を帳消しにしてもらい、人生をリスタートさせることが可能になる代わりに、それまで蓄えたすべての財産を没収されることになります。家はもちろん、車や宝石、高級時計といった、いわゆる「金目のモノ」から、生活必需品のラインギリギリの微小な家財までもが没収されなければならないのが「自己破産」です。

では、「生活必需品のラインギリギリの家財」とはいったいどんなものが挙げられるのか、当事者からすれば、これは非常に深刻な問題であり、また、第三者からすれば、言い方は悪いかもしれませんが、しかし実際のところ興味深い部分であることも否めないでしょう。

詳細については、基本的には管財人の判断ということになってしまいますが、中でも気になる家財と言えば、やはり今の時代「携帯電話」がなければお話にならないと考える人は多く、もしこれから自己破産を申請するという場合、あるいは、もし将来自分が自己破産しなければならない境遇に陥ってしまった場合、果たしてこの携帯電話をめぐる処遇はいったいどのように行われるのか、という部分に関しては、多くの人が高い関心を示すことになるものと思われます。

結論から言ってしまえば、携帯電話については「シロ」、つまり、あからさまに没収の対象にはならないということで、まずはひと安心していただきたいと思います。とはいえ、自己破産後に携帯電話を持っていることについて、これも今まで通りでOKということではないという部分には注意が必要になります。

どういうことかというと、自己破産をしなければならない人というのは、携帯電話の支払いが遅れたり、あるいは最悪の場合、踏み倒して別の会社に乗り換えてしまったりといったケースも実は珍しくありません。ところが、実はそういった支払い状況に関する履歴というのは、「信用情報」の形でしっかりと保管されることになりますので、そういう不備がもしどこかで出てしまっているとすると、その後携帯電話を分割払いで購入する事が出来なくなったり、契約を断られたりといった事象は当然発生します。

自己破産後の生活でクレジットカードは?

意外というか残念というか、ちょっと不思議な気もするのが、「自己破産になってしまったら、もう人生おしまいだ・・・」という発想に至る人が多いということです。これは、実際に自分が自己破産を経験した、あるいはこれから経験するという人もそうなら、自分には経験がないけれど、自己破産をするということをイメージしてみたという人もまったく同じような意見になる傾向があります。

しかしよく考えていただきたいのですが、「自己破産」というのは、正当な理由によって積み重なった借金をすべてクリアしてくれるという法的な救済措置になるわけです。つまり言い換えれば、「人生をリセットするチャンスを与えてくれる法律」ということになるわけです。ですから、本来であれば、「人生おしまい」ではなく、「人生をやり直すチャンスを得た」ととらえるべきであるともいえるはずです。

ただ、だからといって、借金が積み重なる前の段階まで何から何まで戻ることができるというわけではありません。あくまでも「自己破産者」という立場を背負って、自己破産後の生活を送る必要があるわけです。つまり、自己破産者はそれだけいろいろと不利が生じる事象が多いのです。

その「不利」というのは、主に金融サービスに関して起こりやすいといえます。たとえば「クレジットカード」に加入する際にも、自己破産したという過去が、非常に大きなマイナスとなってしまい、新規にクレジットカードに加入することができない事例は非常に数多く報告されています。

クレジットカードの場合、基本的には加入に際して「審査」が行われることになりますので、どうしてもその「審査」では自己破産の経験が大きく影響してしまうと考えられます。クレジットカードの審査では、申請者の「信用情報」と呼ばれる極秘情報が開示されるのですが、そのときに、金融サービスに関するヒストリー(返済履歴)が参照され、そこに何らかの問題がある人は、基本的に審査をパスすることができないのです。そのため、自己破産後の生活では、クレジットカードを持てない生活を余儀なくされる場合が多いのです。

自己破産後の生活「海外旅行について」

自己破産したら、その先のことはあまり考えられないというのが実際のところでしょう。これは、実際に自己破産を経験した人でないと、きっと理解できない気持ちなのだと思います。ですから、たとえばこれまでは海外旅行が楽しみだったという人でも、自己破産をしてしまったとしたら、その先の人生に「海外旅行」などというファクターは、かなり優先順位が下がってしまうことになるはずです。

ただ、自己破産をしたからといって、海外旅行は絶対にできなくなるということでもありません。もちろん、自己破産の直後に、純粋に「レジャー」を目的とした海外旅行のことなど考えられないのがふつうだと思いますが、しかし、「海外旅行が唯一の楽しみだったのに・・・」と嘆く人であれば、さすがに「近い将来」というわけにはいかなくても、少し先の将来に何らかの光を見出すためにも、自己破産と海外旅行の関係を知っておいても悪いことではないという気がします。

上でもちょっと触れましたが、改めて結論から言ってしまえば、自己破産したからといって海外旅行ができなくなってしまうということはありません。もちろん、海外旅行に必要な諸経費については自己破産したかどうかにかかわらず、その人の経済状況が大きくかかわってきますが、法律上(つまり、理屈上)では、海外旅行が禁止されてしまうといったデメリットが生じることはあり得ません

というのも、一説には「自己破産した人はパスポートを発行することができない」というウワサもまことしやかに語られたりもしますが、これは完全に事実と異なるウワサにすぎません。自己破産をした人であっても、パスポートを発行することはできるのです。

パスポートを発行することができて、渡航費用さえメドがつけば、何の気兼ねもなく海外旅行に行くことができるのは当然のことです。ただし、海外旅行には必携品ともいえる「クレジットカード」の発行が、自己破産の場合には非常に難しくなるため、どちらかといえばそのほうがネックになる可能性が高いといえるでしょう。

自己破産後の生活「年金について」

自己破産についていろいろな誤解が巷に渦巻いているという印象がありますが、ただ、どこまでが誤解でどこまでが本当の話であるのかというその境界線がいささかボンヤリしすぎているという印象は、確かに間違いありません。半ば都市伝説のような語られ方をするケースも珍しくないのが自己破産に関する噂ですが、その中でも特筆されるのが、「公的年金」に関する噂です。

というのも、自己破産した人の場合、それまで受給できていたはずの年金を受給できなくなる、あるいはその条件を満たすタイミングでの年金受給が一切行われなくなる、といったウワサです。しかし、これは明らかに誤りであるということになります。そもそも公的年金と自己破産とはまったく別の世界の概念であり、互いに直接的に関係しあう接点がまったくないというのが実際のところです。ですから、受給条件さえ満足していれば、自己破産しようとしまいと、まず年金が受給できなくなるということはあり得ませんので、そのあたりの心配は不要です。

なぜそのようなウワサが起こってしまうのかを考えると、おそらく自己破産するような経済状況に陥ってしまうと、公的年金の年金保険料を納めることができなくなってしまう可能性が高いから・・・ということになるのではないでしょうか。もちろん、年金保険料をしっかりと納めていなければ、確かに受給できるはずの公的年金を手にすることができないというようなことが発生するかもしれませんが、しかし、これを自己破産と同列で語ってしまうのは少々無理があるといえます。

それどころか、公的年金の受給というのは、「個人の権利」として法に保護されている部分ですから、たとえ自己破産があったとしても、その権利までがはく奪されてしまうことは絶対にありえない事象なのです。ですから、年金のことを心配して自己破産できないという状況に陥ってしまっている人がもしいらっしゃるのであれば、その認識を改めて、もう一度よく考えなおすことをおすすめします。


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